吹き抜けのある開放的な家にしたい! ~後悔しないための工夫~
吹き抜けのある開放的な家、新しい家には取り入れたいという方も多いことでしょう。そこで今回は、吹き抜けのメリットとデメリットを整理して、冬の寒さ対策や照明の選び方など「後悔しないための工夫」をご紹介していきます。
家族で開放感を楽しめる吹き抜けを実現してくださいね。
1. 吹き抜けのメリット・デメリット
吹き抜けとは、一般的に「建物の1階から上階にわたって天井がなく上下に連続した空間」のことです。開放感があり、伸びやかで贅沢な空間づくりができますよね。
ただ、吹き抜けをつくることで1階の空間が広くなる反面、2階のスペースが少なくなります。このように、吹き抜けのメリットとして考えられることがデメリットの原因にもなるのです。
メリットとデメリットを整理して、後悔しない家づくりに役立てましょう。
◎吹き抜け3つのメリット◎
まず、吹き抜けの3つのメリットを整理していきます。
①明るく風が通りやすい
吹き抜けをつくることで、部屋の高い位置に窓を付けることができます。そのため、自然光(太陽光)を取り込みやすく、部屋を明るく保つことが可能。屋根にトップライトを取り付けると、より広く光を取り込むことができるでしょう。
とくに、部屋の高い位置に窓を付けることで周辺外部の影響を受けにくくなるため、「隣家との距離が近い(旗竿地なども)」「近隣に高い樹木がある」などの場合も効果的に光を取り込むことが可能になります。
また、高い位置に窓を付けることで、他の窓との高低差ができます。高低差のある窓の組み合わせは風が一段と通りやすくなりますから、爽やかな風を室内で感じることができますよ。
②開放的な空間ができる
吹き抜けは、天井高が高くなりますよね。そのため視線が邪魔されずに抜けていき、開放感があって圧迫感のない空間に感じられるわけです。
部屋の広さを平面的に広げられない狭小住宅などにも効果を発揮。高い窓からの光も、開放感を後押ししてくれます。
③コミュニケーションが豊かに
吹き抜けの周囲の上下の階が、同じ空間でゆるやかにつながることになります。同じ部屋にいなくても、お互いの気配が感じられて自然と一体感ができるでしょう。
室内窓を活用したり、吹き抜けにスキップフロアを設置したりと工夫を追加してみると、より個性的な使い方ができ、家族同士のつながりを楽しめるはずです。
◎吹き抜け3つのデメリット◎
では反対に、吹き抜けのデメリット3つも見ていきましょう。
①夏暑くて冬寒い?
暑い空気は自然に上に昇り、寒い空気は下に溜まります。空気は温められると膨張し、密度が減って軽くなります。冷やされるとその逆のことが起こりますよね。
吹き抜けは上下の高さが大きいため、この空気の移動が起きると他の部屋よりも温度差が大きくなり、冬は寒くなりやすいのです。
また、高い位置の窓は夏の光とともに熱射も部屋に入れることになり、部屋が暑くなりやすいといえるでしょう。
②音や臭いが伝わる?
吹き抜けは、空間がつながっていることで音が響きやすくもなります。家族の声や部屋の音が吹き抜けを通して他の部屋にも届いてしまうのです。
家族の中でもプライベートはありますし、静かに過ごしたいための個室に家族の声や音が響けば、喧嘩にもなりかねません。毎日の掃除機の音やキッチンでの作業音なども広がります。
また、音と同じく、臭いも伝わりやすいもの。間取りによっては、キッチンの臭いなどが伝わって不快に感じる場合もあるでしょう。
家族とのコミュニケーションが自然と増える一方で、プライバシーが足りなくなることもあるのです。
③掃除や照明の交換が大変?
吹き抜けの特徴である「高い天井高」。このために窓や照明器具も高い位置にあり、掃除や照明の交換が難しくなりがちです。室内に足場を組んで作業をする必要がある場合もあります。
単に窓を掃除したいだけ、電球を取り替えたいだけで、足場を組んで作業をすることになる可能性も!せっかくの吹き抜けを、厄介ものに感じてしまうかもしれません。
このように、吹き抜けそのものの特徴がデメリットとして現れます。しかし、デメリットになるこれらも分かったうえで対応すれば、多くの問題は解決できますよ。
2. 暑さ寒さはまず「断熱」
「夏暑くなり冬寒くなる」というデメリットには、まずはしっかり断熱施工をしましょう。
断熱施工をはじめとしたいくつかの要素からなる「省エネルギー性能の良い住宅」は、吹き抜けへの対策に限らず、光熱費を減らし、室内の温度を快適にし、エネルギー消費を抑えることで地球のためにもなりオススメです。
断熱材で家全体を包むことで、外気温の影響が少なくなり、寒暖差の小さい家にすることができます。
そのうえで、吹き抜け部分のエアコンの効きを良くするために、サーキュレーターやシーリングファンで空気を撹拌して熱だまりや冷気だまりをなくします。サーキュレーターは静音設計のものを選びましょう。
他にも、冬の寒さ対策にはストーブや床暖房も効果的。ストーブは煙突部分も熱を持つので2階も含めて空間全体を温めることができますし、床暖房は床を温めますから確実です。
ただし、光熱費がかかる場合もあります。そこで、冬の間だけ天井部分に布地やアクリルなどでできた可動式の天井スクリーンを設定しておくことも可能。その場合は、吹き抜けの開放感は冬の間は我慢ということになるかもしれませんね。
夏の日射には、「窓ガラスを遮熱性能の高いものにする」「可動式の外部シェードを付けて日射を調整する」などの工夫をすることができます。
いずれにしても、地域や家を建てる場所によっても変わりますから、専門家にしっかりと相談して対策を取るようにしましょう。
3. 音や臭いに配慮した間取り
音が響かないようにするには、寝室や子供部屋などの静かさが必要な部屋と吹き抜けが隣り合わせにならないようにプランニングします。
「小さな子供が寝ている」「受験期の子供がいて勉強している」など、静かな空間が必要な場合にも、吹き抜けでは自然と音が伝わってしまいます。まずはプランニングで配置を考慮しましょう。
そうはいっても、吹き抜けの一体感を楽しみたいし、隣り合ってしまう場合もあるでしょう。そのときには、室内の壁などに断熱材や遮音材を入れるなど防音の工夫を追加します。
ただし、音を完全に防ぐことは困難。音に敏感な家族がいる場合には、十分な配慮が必要になります。
臭いは、主にキッチンから発生することが多いですよね。キッチンに間仕切り建具を配置しておくと、独立キッチンにもできます。
臭いの強い作業をする場合、臭いを漏らさないようにしたい場合などは、建具で仕切って独立性を得ることでキッチンから臭いが漏れないように工夫しておくといいでしょう。
4. 照明の位置・掃除の工夫を
高い位置にある照明の交換や窓などの掃除のしやすさは、室内のデザインとも関係します。
照明の位置は、壁付けのブラケットタイプにするのはどうでしょうか。スポットライトのように方向を変えることができる器具を組み合わせると、下方向(床など)だけでなく天井方向にも灯りを向けることができてオススメです。
天井に付ける照明を選びたい場合には、電動で高さが上下するタイプの照明器具もありますから、そういったタイプを選ぶと安心ですよ。
また、キャットウォークを活用する方法もあります。ここでいうキャットウォークは、「高い位置にある作業用の小さな通路」のこと。吹き抜けの周囲に設置しておくと、そこを使って高い窓の掃除などができます。
また、窓の外部にも出られるようにしておくと、外部の窓掃除も可能。高いところでの作業になりますから、安全を確保できるようにつくりましょう。せっかくの開放感をなくさないように、通路の床をすのこ状にするなどの工夫をしてもいいですね。
「どうしてもこの照明器具を付けたいの!」など特別な希望がある場合には、いっそメンテナンスを外注する覚悟をしておくことも必要かもしれません。
5. まとめ
吹き抜けは、その特徴がメリットにもデメリットになります。冬の寒さ対策や音、臭いへの配慮などを検討し、居心地の良さを確保しましょう。吹き抜けでしか味わえない伸びやかな空間を楽しんでください。
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